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ATTオプトイン率を上げる5つの方法

執筆者 Shani Rosenfelder
ATTオプトイン率を上げる5つの方法 | AppsFlyer

iOS 14のリリースによってこれまでアプリ側にあったデータの主導権がユーザーの手に委ねられることになり、モバイル時代におけるプライバシーにもっとも大きな変化をもたらしました。

主導権を握ったことでユーザーはデータ共有の必要性に疑問を感じていることも事実です。これについてはデータへのアクセスを許可する価値を説明する責任がアプリ側にあります。

iOS 14の重要な柱のひとつ、AppTrackingTransparency (ATT) フレームワークが4月26日に本格導入されたことで、IDFAを共有するかしないかを決める権利がユーザーに与えられました。iOS 14がリリースされる前まで、アプリ側はデフォルトでIDFAを取得できていましたが、これからはATTポップアップメッセージを通じてデータがどのような目的で使われるかを説明したうえで、IDFA取得の同意をユーザーに対して求めなければなりません。

アプリはIDFAの取得を試みる代わりにSKAdNetworkと呼ばれる集約式のアトリビューションを活用することができます。けれど、ATTにオプトインしてもらえれば、SKAdNetworkのデータをユーザーレベルのデータで最適化できるだけでなく、さまざまなアクティビティに効果的に活かすことができます。

いまのATTオプトイン率の傾向を見ると、iOS 14.5リリース前に予測された以上にオプトイン率は高く、広告主側のアプリは30~40%のオプトイン率を維持しています。AppsFlyerではATTオプトイン率に関する統計データを定期的に公開しており、広告主アプリのオプトイン率は下図赤枠部分から確認できます。具体的な数字はATT統計レポートをご確認ください。

ATT prompt benchmarks overall june 15 2021


これから数週間~数か月にかけてアプリ開発者やマーケターのみなさんはATTオプトイン率アップに取り組む必要があるため、
今回のブログでは、ATTオプトイン率をあげる5つの方法をご紹介しつつ、ユーザーレベルのデータを取得することがアトリビューション計測にどのようなメリットがあるのか説明したいと思います。

1. ATTポップアップの purpose string (目的の文字列) をカスタマイズ

ATTポップアップの1段落目にある「〇〇が他社が所有するappやwebサイトを横断してあなたを追跡する許可を求めています」という文言はApple公式のものであるため変更はできませんが、2段落目のpurpose stringと呼ばれる文字列は自由にカスタマイズできます。ユーザーのプライバシー保護面での不安を軽減しながら、オプトインするメリットを伝えましょう。

ATT prompt purpose string

オプトインのメリットをユーザーが理解できる書き方を

オプトインを拒否するユーザーのほとんどがデータの取得・保管方法、共有方法、取扱方法を懸念していると考えて間違いなさそうです。

purpose string の文字列ではユーザーに対してデータがどのように扱われるのか、その目的を正直に伝えることができます。ユーザーがトラッキングを許可すればアプリ側はIDFAを取得できるわけですが、ユーザーも自分の興味や好みに合ったアプリ体験ができるので相互にメリットがあります。

ただ、相互にメリットがあることは周知の事実として捉えずに、必ずユーザーに説明をして理解してもらうことが大切です。IDFAを共有すると次のようなメリットがあります。

  • パーソナライズ化されたユーザー体験
  • 一人ひとりの好みに合った広告配信(トラッキングを拒否した場合でも広告は表示されるが、一切関連性のない広告が配信されてしまう)
  • 「知り合いかも」などのSNS機能の改善
  • 不正検知の改善
  • その他スムーズなユーザー体験を実現するためにアプリ内コンテンツをパーソナライズ
CapCut ATT prompt

わずかな文言でもオプトインすることがアプリ体験全体を向上することを説明できます。

ユーザー目線に立って信頼を得る

Purpose stringを効果的に活用するには、ユーザー目線に立つことが重要です。ユーザーにとってのメリットをわかりやすく伝えることができれば、ユーザーからの信頼を得ることはもちろん、オプトインにつながりやすくなります。

オプトイン率が増えればアプリの売上向上につながることは確実です。けれど、ユーザーの立場からするとIDFAがアプリにどういったメリットをもたらすかまで知る必要がありません。ユーザーが知りたいのは、アプリが自分たちに何をしてくれるか、これに尽きます。

ATTポップアップを表示するのであれば、ユーザーにとってのメリットを強調する必要があります。海外の人気ファストファッションブランド「ASOS (エイソス)」のATTポップアップを例に挙げると、ポップアップメッセージのトーンをブランド全体のトーンに統一しているうえ、ユーザーにとってのメリットを全面的に押し出しています。

ASOS ATT prompt

文章は簡潔に

長々と書かれた文章を一字一句読むほどユーザーは暇ではありません。また長文になるほど読み解くことが難しくなり、メリットを伝え損るだけでなく、オプトインのチャンスを逃す可能性が高くなります。

Purpose stringはなるべく短く簡潔にメリットをまとめるよう心がけてください。ユーザーにとって何がいちばん有益なのかを考え、その点を明確に要約しましょう。

マイナスなイメージを与える表現はNG

マイナスイメージを与えかねない言葉や表現は使わないようにしましょう。

「トラッキング」「追跡」といったワードは、ユーザー体験に関する文脈で用いる場合はネガティブな印象を与えてしまう可能性があり、オプトインの妨げになりかねません。正直に本当のことを伝えることは大事ですが、避けたほうがいいワードがあることを覚えておいてください。

2. プレポップアップで説明を付け足す

ATTポップアップのカスタマイズはpurpose stringに限定されていますが、ユーザーのオプトインを促す方法はほかにもあります。

そのひとつがプレポップアップ(自社ポップアップ)で、これはAppleのATTポップアップが表示される前に補足情報としてユーザーに見せることができます。

プレポップアップは次のようなことを自分たちで考えて作成できます。

  • デザイン
  • メッセージの文言
  • 表示するタイミング
  • 次の画面でATTポップアップが表示される

プレポップアップは、自社ブランドのカラーや雰囲気にぴったりのデザインやメッセージを用いることができるので、ユーザーの警戒心をやわらげることができます。プレポップアップを表示するタイミングも自分たちで決めることができるので、次の画面でATTポップアップが表示されることを事前に教えてあげることができます。

Example of ATT prompt
BBC ATT prompt

プレポップアップのCTAボタンには「次の画面へ」など、さらにワンステップあることが伝わりやすいものにするといいでしょう。ここで「許諾する」のようなボタンを付けてしまうと、ユーザーはプレポップアップでオプトインを許可したものと勘違いする可能性があります。

【注意点】ユーザーにオプトインしてもらうためにインセンティブを使うことはできません。ユーザーをごまかしたり、強制的にオプトインさせるようなこともしてはいけません。

3. ポストポップアップでユーザーを呼び戻す

たとえユーザーがATTポップアップを拒否したとしても、そこであきらめる必要はありません。トラッキングの許可・拒否は端末の設定画面からいつでも変更可能です。

中にはあとから設定を変えられることを知っているユーザーがいる可能性があるため、リマインダーを送ることをおすすめします。プレポップアップと同じように、ポストポップアップをユーザーに見せることで再度オプトインすることのメリットを説明できます。ポストポップアップでは自社アプリのトラッキングを許可する設定画面へ直接移動する仕様にすると効果的です。

ポストポップアップのメッセージには、データの主導権はユーザーにあってトラッキングは設定からいつでも許可・拒否できることを知らせましょう。

ユーザーが安心できるメッセージにすることで信頼関係を築くことができます。また、あとからでもまた設定を変更できることを知れば、オプトインにつながる可能性が高くなります。ポストポップアップでは、データの主導権がユーザーにあることを必ず付け加えましょう。

4. ATTポップアップを表示するタイミング

ATTポップアップを見せるタイミングはアプリ側で決められます。いつどこで表示するかによってオプトイン率を大きく決定付けます。

カスタマージャーニーのファネルを下に進むほどユーザーのエンゲージメントが高くなるため、ATTポップアップをファネルの後半で見せるとオプトイン率が高くなる可能性がありますが、ユーザーの規模は縮小されていきます(7日目のリテンション率はわずか10%、ファネルの前半~中間で離脱するユーザーが多いため)。また、ATTポップアップをファネル後半で見せるとなると早い段階でキャンペーンを改善することができなくなります。

ATTポップアップを表示するタイミングには正解がなく、アプリそれぞれのマネタイズ方法やその他の要因を考慮して決める必要があります。たとえば、収益モデルのアプリの場合、1つ目の広告が表示される前にATTポップアップを見せると効果的かもしれません。

それに対してNetflixなどのサブスクモデルのアプリは、会員登録後すぐにATTポップアップを見せると良いでしょう。会員登録をする過程で、ある程度アプリに慣れ親しむことができるからです。詳細はこちらの「ATTポップアップの必要性と表示するタイミング」をご覧ください。

5. 信頼を勝ち取るには強いブランド力が必要

先ほども述べたとおり、ユーザーとしっかりと信頼関係を築けているとATTオプトイン率に影響します。ユーザーも信頼しているアプリにはデータを共有しようと思うからです。

プライバシー意識の高まり​といった状況変化の中で、ブランド確立の重要性は従来よりもはるかに高まってきていると言ってよいでしょう。Activision Blizzard、Nike、Macy’s、ASOSのようなすでに名の知れているブランドは確かに有利です。

けれど、ブランド力が高くない新しめのアプリでもチャンスはあります。ブランド認知キャンペーンにリソースを割くことがATTオプトインのカギを握ることになります。ブランド知名度を広める手段としては、SNSでブランディング活動、他社アプリでクロスプロモーション、メールや有料広告などのマーケティング活動を活用できます。

ブログのまとめ

  • ①ATTポップアップのpurpose stringをカスタマイズ:オプトインする価値を説明しながらプライバシー面の不安要素を取り払い、ユーザーの立場に立って正直にシンプルな言葉で説明しましょう。
  • ②プレポップアップで説明を付け足す:ATTポップアップが表示される前に補足情報を見せてユーザーに安心してもらいましょう。プレポップアップは自由に作成可能です。
  • ③一度拒否したユーザーをポストポップアップで呼び戻す:トラッキングの許可・拒否は端末の設定画面から常時変更可能です。ユーザー側でいつでも設定を変更できるという点を伝えましょう。
  • ④ATTポップアップを表示するタイミングでオプトイン率が変わる:ATTポップアップを見せるタイミングはアプリ側で決められます。ファネルの前半で見せるか後半で見せるかは、各自で見極める必要があります。
  • ⑤ユーザーの信頼を得るにはブランド力が欠かせない: ユーザーと信頼関係を構築できているアプリはオプトイン率も高い傾向にあります。ユーザーは自分のデータを渡すことで有益なサービスを受けられることがわかっているので、安心してデータを預けることができます。

Shani Rosenfelder

Shaniは、AppsFlyerのコンテンツ&モバイルインサイトの責任者。10年以上にわたり、さまざまな大手オンライン企業や新興企業で、コンテンツやマーケティングの重要な役割を担ってきた経験を持つ。創造性、分析力、戦略的思考を兼ね備え、革新的なコンテンツ主導型プロジェクトを通じてブランドの評判と知名度を高めることに情熱を注いでいる。
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