ウェブとモバイルにまたがるコンバージョンパスのトレンドを解き明かす [データ調査]
ユーザージャーニーが複数のプラットフォーム、デバイス、チャネルにまたがっていると、「典型的なコンバージョンパス」がどんなものかわかりづらくなります。その場合は「顧客が自社ブランドと何回やりとり(インタラクション)してから、アプリをダウンロードしているのか?」や「ユーザーが最終的にサブスクリプションにサインアップするまでに要する時間は?」といったデータを調べることが、ファネルの最適化の鍵となります。
答えを求めてデータを分析
そこで、上記の問いに答えるため、そしてマーケターの皆さんによるスマートでデータドリブンな意思決定を可能にするために、2020年5月と6月の2週間で計測された6,820万件のコンバージョンパスの分析を行いました。計測したコンバージョンパスは、ウェブとアプリの両方のもので、あらゆるデバイス、プラットフォーム、チャネルをまたいだユーザージャーニーのデータです。モバイル業界のほぼすべての業種で、世界中のユーザーについて計測されています。
分析ではアプリのインストールとウェブコンバージョンの2種類のコンバージョンイベントに焦点を絞りました。なお、調査したウェブコンバージョンには、登録、購入、サブスクリプション登録など、ブランドのウェブサイトで訪問者が行うアクションが含まれます。そして、コンバージョンまでにユーザーがブランドに対して行った個別のインタラクション数(ステップ数)と、コンバージョンまでにかかった平均時間を調査しました。
ダウンロードは速く、ウェブコンバージョンはゆっくり
AppsFlyerのデータで平均すると、モバイル上でのユーザーは非常に速くコンバージョンすることがわかりました。最初のインタラクションからアプリのインストールまでに、平均的なユーザーはブランドと1.3回のエンゲージメントを行っています(ソーシャルメディア、広告、メールなどのマーケティングチャネルにおいて)。そして、最終的にアプリをインストールするまでに約1.7日間かかっています。アプリのインストールに必要なコミットメントは大きくないので、当然の数値と言えます。
一方、ウェブコンバージョンに至るまでに、ユーザーは多くのことを考慮します。ユーザーがブランドのウェブサイトでコンバージョンに至るまでに、ブランドとのインタラクションが平均3.7回、時間としては平均4.2日を要しています。
コンバージョンに最も時間がかかるのはフード&ドリンクのアプリ
簡単に決められるものもあれば、そうでないものもあります。すでに述べたように、通常、モバイルインストールよりもウェブイベントの方がコンバージョンパスは長くなります。とはいえ、ウェブコンバージョンによってその長さは様々です。
たとえば、フード&ドリンクのブランドでは、ユーザーがウェブ上でコンバージョン(注文やサービスへのアカウント登録など)するまでに平均8.9日かかっています。しかし、フード&ドリンクのアプリインストールにかかる時間は、平均して2日未満です。
オーガニックトラフィックが最重要マーケティングチャネルである可能性
ユーザージャーニーを把握する上で最も重要なのが、さまざまなメディアチャネルがどのようなインタラクションをユーザーと行いコンバージョンの促進を行っているかを理解することです。これには、AppsFlyerのピープルベースドアトリビューションが役に立ちます。このソリューションにより、ファーストタッチに強いチャネルや、ボトムオブファネル(BoFu)で良い働きをするチャネルを理解することができます。
オーガニックのウェブ検索はコンバージョンを促進する最も重要なチャネルであり、その次に重要なのがダイレクトのウェブトラフィックであることが、モバイルインストールとウェブコンバージョンの両方のデータからわかりました。
ブランドとの最初のインタラクションの40%、コンバージョン前のラストタッチの36%をもたらしているのは、オーガニックのウェブ検索です。
ダイレクトのウェブトラフィックでは、ユーザーがウェブブラウザに「www.appsflyer.com」と入力するなどしてウェブサイトを直接訪問しているので、訪問ユーザーがそのブランドにすでに精通していることがうかがえます。そして、ファーストタッチのインタラクションの31.7%、ラストタッチのほぼ37%がダイレクトウェブトラフィックによるものです。
ソーシャルメディア、広告、紹介がコンバージョンに及ぼす影響は、ファネルの開始時と終了時の両方で同程度でした。メールキャンペーンは、最後のタッチポイントとしての影響がわずかに強くなっています。
3回に1回のコンバージョンがモバイル
「Web」といえばデスクトップでのウェブを想像するかもしれませんが、モバイルウェブを無視してはならないことをデータは示しています。
計測されたすべてのウェブコンバージョンイベントのうち、3分の1はモバイルウェブ(Chrome や Safari モバイル向け)で実行されました。
しかし、ウェブインタラクションを最も多く生んでいるのはデスクトップです。モバイルファーストやモバイル中心のブランドにとっても、デスクトップのウェブは重要なマーケティングチャネルです。ウェブでの存在感が大きい、またはウェブコンバージョン(ウェブサイト経由のサブスクリプションなど)を最適化しているブランドは、ウェブサイトをモバイル向けに最適化し、すべてのデバイスでシームレスなエクスペリエンスを実現する必要があります。
コンバージョンのあった日にほぼ40%の収益が生成
ユーザー行動をよりよく理解するため、収益を生み出すイベントに注目し、ウェブコンバージョンについて詳細に調査しました。
当然のことながら、収益の3分の1以上(37.5%)がコンバージョンのあった日に生成されています。コンバージョンのあった日とは、ユーザーがピザを注文したり、靴を購入したり、ストリーミングサービスのサブスクリプション登録を行ったりする日のことです。
収益の65%以上が、コンバージョン後の最初の3日間で生み出されます。その後、徐々に低下していき、9日目の約1.1%になります。コンバージョン後、10日目から30日目の間に生成される収益は、全体の約10分の1です。
ブランドごとに異なるユーザージャーニー
同じ業界や似たビジネスモデルであっても、ブランドによってユーザージャーニーはさまざまです。AppsFlyerのピープルベースドアトリビューションを利用しているブランドは、ブランドを利用するユーザーと、異なるデバイス、チャネル、プラットフォームをまたいだユーザー行動についてより詳しく分析しています。