CTR, CTI, IPM: インストールコンバージョンまでの経路の最適化 [ベンチマーク]
この投稿は2019年3月のブログ記事に新たなベンチマークを追加したものです
インストール後のジャーニーについては、ここ数年で言い尽くされた感がありますが、マーケターはインストール後のデータを計測し、インストールする前のユーザの行動と関連付けながら、今後のマーケティング活動の最適化を図る必要があります。 ユーザーの「数」よりも「価値」に注目することがマーケティング収益を高めるカギとなるのは間違いのない事実です。
とはいえ、インストール後の解析に加え、インストール前のデータを丁寧に分析することも重要です。クリエイティブ面の最適化、ASO、ターゲティング、入札管理などの重要なインサイトが得られます(ゲームアプリのマーケターがぜひ計測しておきたい英語版16のKPIリストをご覧ください)。
マーケターはインストール前の計測値をもとに以下を行います。
- 広告クリエイティブを評価し、ユーザーが希望通りのアクション(例:クリック、インストール、登録、購入)を取った場合に誘導への貢献度を計測します。 こうした数値を向上させるため、マーケターはクリエイティブ(デザインとコピー)の最適化、広告配信のA/Bテスト、ターゲティングの改善などを図る必要があります。
- 配信するコンテンツの多様性、規模、グローバルリーチ、ビジネスロジック(広告をいつ、どこで、どのようなオーディエンスに配信するかを判定する機械学習の複雑度)を比較し、提携するメディアソースの価値を判断します。その結果、制約(予算、フリークエンシーキャップ、ターゲティングなど)があるキャンペーンでもインストール前の最適な指標値を確保できます。
この記事ではインストール前の指標の重要性について触れ、データドリブンなトレンドとジャンル別のベンチマークを紹介します。
インストールのコンバージョン率の定義とその重要性
モバイルマーケティングにはさまざまなKPIがありますが、コンバージョンファネルを通過してインストールを達成したユーザー数を計測する際は、インストール前のコンバージョン率を使用します。
インストールがマーケティング活動の「最終段階」とみなされているわけではありませんが、ユーザーがアプリに注意を向け資金をつぎ込むには、まずはスマートフォンにインストールしなければいけない以上、やはり重要なポイントです。
インストールの重要性を可能な限り広義に理解すると、インストール前のコンバージョン率は計測する対象に応じて、インストール数を広告クリックの総数か広告の閲覧数のどちらかで割って算出できます。
I粒度の細かいデータへのアクセスが困難だったころ、モバイルマーケターはインストール前のコンバージョン率に大きく依存しており、エンゲージメントの高い層にリーチするよう努め、短期間で成果を挙げ、高い水準を維持できるパートナーを選んでいました。
現在はあらゆるユーザー獲得戦略で、インストール前後の指標がいずれも欠かせない要素となっています。
では、インストール前の指標について説明します。
クリック率 (CTR)
数式 | クリック数/広告表示数 |
---|---|
示唆するもの | クリエイティブの最適化 |
説明 | CTRはファネルの上部に所属します。全体的なマーケティング目標に関する指標としての役割は限られるものの、キャンペーンにおけるクリエイティブの効果をクリック数に基づき計測できます。 |
クリック・ツー・インストール (CTI)
数式 | インストール数/広告クリック数 |
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示唆するもの | クリエイティブおよびアプリストアの最適化;ターゲティング;および/もしくは技術導入(例:MMP、内部ID照合技術、読み込み時間とダウンロードの時間に影響を及ぼす、ゲームの読み込みとアトリビューションプロバイダーがインストールイベントをAPIに送る間の時間) |
説明 | インストール前のユーザージャーニーにおける最も重要な2つのタッチポイント間の直接コンバージョンを測定します。CTI率が低いことは、関連オーディエンスが少ない、クリエイティブの効果が低い、もしくはインストールが完了する前に読み込みに時間がかかりすぎることを意味する可能性があることから、CTIは社会的にも技術的にも重要な指標です。 |
インストール・パー・ミル(IPM – 1000インプレッションあたりのインストール数)
ゲームジャンル別トレンド
過去1年半で4,500個のアプリで発生した4,700億件のインプレッション、490億件のクリック、21億件のインストールを網羅する包括的なデータセットを使用し、トレンドの調査を行いました。 データセットにはゲームアプリのマーケターが使用するトップメディアソースが含まれ、インベントリが主に動画プレースメント(リワード広告とインタースティシャル広告)で構成されています。FacebookとGoogleのインベントリはデータセットに含まれていません。
動画はこうしたデータの大半を占めており、表示(標準の静的バナー)が支配的な事例よりも動画の平均CTR値が大幅に高い理由がわかります。
A技術の進歩に加え、機械学習アルゴリズムがデータを常時学習しているため、キャンペーンで高いリターンを達成しています。 突出して高い結果を出すジャンルもあります。
当社のデータによると、ミッドコアゲームとハイパーカジュアルゲームは、規模が最大級で成長のスピードも速い人気ジャンルですそのため、上記のグラフで示す3つの指標でこの2ジャンルが上位を占めるのもうなずけます。
最も画期的な成長を示したのがCTI(クリックツーインストール)で、過去18か月間、(ソーシャルカジノを除く)すべてのゲームジャンルで顕著な成長を見せ、中でもミッドコアゲームとハイパーカジュアルゲームではそれぞれ対前年比で110% 増を達成しています。
ハードコアゲームは特定のユーザー層の間で高い人気を得ており、潜在的プレイヤー層が小規模であるため、ユーザー獲得アクティビティで規模の拡大を図りにくいジャンルです。 それでもCVRで18% 増、CTIで 34% 増、IPM(1,000インプレッションあたりの生成インストール数)で6% 増(対前年第2四半期比)と、毎年成長しています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、世界各国でロックダウンが実施された影響も考慮することが重要です。
当社の新型コロナウイルス感染症管理画面(英語)が示してきたように、ゲームアプリはインストール、利用、収益で急上昇しました。ゲーム需要の高まりを受け、上のグラフが示すとおり、インストール前の指標は大半のジャンルで向上しています。
地域別トレンド
当社の「ゲームアプリマーケティングの現状 – 2022年版」では、ゲーム分野は世界中で活況を呈していると指摘しています。モバイルゲームはさまざまな地域や文化の国々でユーザーのエンゲージメントを明らかに拡大させています。
上のグラフが示すとおり、インストール前の指標を地域別に見ると、かなりの増加傾向にあることがわかります。中でも対前年比(第2四半期)がCVRで28%増、CTIで86%増、IPM(1,000インプレッションあたりの生成インストール数)で19%増と、中南米およびメキシコ地域が好調です。
世界の各地域でインストール前のパフォーマンスが上昇傾向にあるのは、クリエイティブの最適化が進み、複数の文化に適応できているからと考えます。その結果、世界各地のエンドユーザーが広告を身近にとらえるようになっています。
ベンチマーク
下表は2020年上半期のアプリ、市場、ゲームジャンル別にインストール前の指標平均値をまとめたものです。トップ10%のアプリのパフォーマンスが表示できるよう90パーセンタイルの値(計測KPI当たりの数値)を追加しました。ゲームジャンル別の目標との比較に適しています。