全世界のアプリインストール広告費が2022年までに2倍の1,180億ドルに
AppsFlyerの予測では、世界での年間アプリインストール広告費*は堅調な増加を続け、2019年の578億ドルから2022年の1,180億ドルに達します。これは、発展途上国で何億人ものユーザーがこれからオンラインサービスを利用するようになり、アプリ市場ではインストールを促すためのマーケティングにますます依存することになるからです。
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GSMAによると、35億人以上(世界人口のほぼ半分)の人がモバイル端末を使ってインターネットを利用しており、今後数年間もこの数値が継続的に成長することが見込まれます。
2017年以降、スマートフォンの年間販売台数は減少していますが、開発途上国では大部分の人がスマートフォンをまだ所有しておらず、2022年までには、インド、中国、インドネシア、およびアフリカの多数の国を中心に、数億人のユーザーが新しくスマートフォンを使ってインターネットを利用するようになります。
その結果、モバイルアプリのダウンロード数も増加し、AppAnnie社によると、2019年の2,040億回から2022年には2,580億回になると予想されます。アプリによる収益も増加しており、アプリストアだけでの2019年の消費者支出は1,200億ドルと推定され、これは2016年の2倍以上です。
しかし、多くのネイティブアプリがビジネス的に成功したことにより、数百万人規模のデベロッパーがアプリストアでのビジネスに参入したことで、アプリストアでの競争はさらに激しくなっています。結果として、アプリのプロモーションを行うためのマーケティング予算の増大にも繋がりました。
実際、2019年の マーケティング活動によって促された(つまりマーケティング費用を必要とした)アプリのダウンロードの約60%は、アプリインストールキャンペーンによるものでした。これは、2018年より15%高く、2017年よりおよそ30%高い値です。
そのため、この増大するアプリインストール広告費は、モバイル広告費全体の中でも重要性と割合が大きくなり、高い関心を集めています。
eMarketer社によると、サーチやブランドに大規模な予算を要するモバイル広告にかかる金額は、2019年の合計2,410億ドルから、2022年には3,680億ドルに達すると予想されています。そのため、アプリインストール広告費が占める割合は2022年までに30%増加し、モバイル広告費のほぼ3分の1に達します。
モバイル検索やブランドの予算よりも、新規アプリユーザー獲得のための予算が速く増加しているという事実は、モバイルマーケティングの中でアプリマーケティングが果たす役割の増大を証明しています。
アプリインストール広告費は世界的に前年比27%の増加
マーケターが、より多くの費用をモバイル、特にアプリインストールキャンペーンに投じています。多くのアプリが、ユーザーに見つけてもらうためのマーケティングに依存するようになるので、アプリインストール広告費は堅調に成長していきます。成長速度は緩やかになりますが、2022年までの前年比成長率は引き続き高い値を維持します。
APAC:中国が地域全体を牽引
2022年まで、世界でアプリインストール広告費にかけられる予算の半分以上が、中国、インド、インドネシア、日本の巨大市場を擁するAPAC(アジア太平洋地域)で使われます。この地域では、2022年までに前年比27%の成長をすると予想されています(ただし2020年の32%から2022年には22%に抑まります)。
中国では、2022年までにモバイル端末でのインターネットユーザーがさらに1億人増え、9億人という驚異的な数に達します。しかし、この世界最大数のインターネットユーザーが居住する中国では、Google Playが利用できない(数百のサードパーティのAndroidストアが利用されている)ため、アプリインストールの測定は大きな課題となっています。
このような制約があるにも関わらず、AppsFlyerは、市場測定技術の進歩により、測定モデルに初めて中国を含めることができるようになりました。控えめに見積もっても、中国でのアプリインストール広告費は2019年に150億ドルに達し、2022年には220億ドルを超えると予測されます。
インドでも、モバイル端末でのインターネットユーザーが2022年までに1億人以上増加することが予想されています。しかしながら、その規模にも関わらずメディアにかかるコストが低い(インストールあたり0.25〜0.28ドル)ため、アジア太平洋地域全体のアプリインストール広告費にインドが及ぼす影響は大きくありません。2019年のインドでのアプリインストール広告費は約12億ドルと推定されています。これは、アジア太平洋地域全体で費やされた300億ドルのごく一部でしかありません。
インドネシアは、モバイル端末でのインターネットユーザーが2019年の1億600万人から2022年の1億2600万人に増加すると予測される超成長市場の1つです。メディアにかかるコストが比較的低い(インストールあたり約0.70ドル)ので、アプリインストール広告費はそれほど高くならず、2019年は約8億ドルでした。
対照的にメディアにかかるコストが高い(インストールあたり3.2〜3.5ドル)日本は、顧客生涯価値の高いインターネットユーザーベースがあり、アジア太平洋地域でのアプリインストール広告費は、中国に次いで2番目に高く、2019年には合計27億ドルに達しています。
北米:ユーザー品質と規模における競争が激化し費用が高騰
先進地域である北米は、2022年までのモバイル端末でのインターネットユーザー数がわずか5%しか増加しないと予測されていますが、平均的なユーザーの顧客生涯価値が高いこととユーザー数の大きさが、モバイルマーケターには大きな魅力です。
大きな市場規模とメディアの高いコスト(インストールあたり約3ドル)が要因で、アプリインストール広告費が世界で2番目に高い地域となっています。今後数年間、この市場は引き続き高い需要を生み出し、前年比25%の成長を遂げ2022年のアプリインストール広告費が270億ドルに達すると予測しています。
EMEA:それぞれの国での異なるオポチュニティ
EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)でのアプリインストール広告費の前年比平均成長率は、2022年までにほぼ30%に達します。ドイツ、イギリス、ロシア、サウジアラビア、ナイジェリアなど、この地域は非常に細分化されています。
ヨーロッパでは2022年までにインターネットユーザーが1,600万人増加すると予測されていますが(成長率はわずか6%)、アフリカとMENA(中東および北アフリカ)は6,000万人以上のモバイル端末でのインターネットユーザーが増加し20%の成長が見込まれます。アフリカはMENAの2倍の速さで成長すると予想されています。
インドと同様に、メディアのコストが非常に低い地域(特にアフリカ)では、今後数年間で予算が2倍になると予想されるにもかかわらず、広告費への影響はわずかです。
西ヨーロッパでは、イギリスとドイツが先駆けて、2019年のアプリインストール広告にそれぞれ約18億ドルと約14億ドルを費やしました。これらの国ではメディアのコストが比較的高く(インストールあたり約2ドル)、総広告費が増加します。
中央および東ヨーロッパでは、ロシアが他の地域よりも抜きん出ています。実際、ロシアは、2019年のアプリインストールの世界でのシェアを21%増やし、トップ10のアプリ市場の中で最大の増加を示しています。一方、メディアが低コスト(インストールあたり0.6〜0.7ドル)であるため、インストール数が増えても、莫大な広告費には繋がらず、2019年は約7億5,000万ドルにとどまりました。
EMEAの成熟市場および発展途上市場では、今後数年間はアプリマーケターにとってチャンスの時であり、2022年にはアプリインストール広告費全体が229億ドルに達すると予測されています。これは2019年と比較して116%の増加です。
LATAM:ブラジルの成功は地域全体を前進させる
LATAM(ラテンアメリカ)では、近年スマートフォンの普及率が大幅に増加しています。2014年以降、利用率はほぼ倍増し、人口の66%に達しました。
経済成長と巨大な人口に後押しされ、2019年のLATAM地域のアプリインストール広告費の半分以上(18億ドル)がブラジルで使用されました。ブラジルのメディアにかかるコストは、インストールあたり0.75ドル程度で広告費は相対的に低くなりました。
インターネットユーザー数の増加は、2022年までに8%と減速することが見込まれていますが、アプリインストール広告費は、2022年までに前年比30%を超えて約70億ドルに達し堅調な増加を続けます。
アプリインストール広告費を増大させる要因とは?
モバイル広告費の増加を後押しするトレンドが多くありますが、ここでは最も顕著なものを紹介します。
ネイティブアプリエクスペリエンス:ネイティブモバイルアプリは、ユーザーが最も時間を費やし、最適なユーザー体験を得られ、長期的なロイヤリティ(ホーム画面へのアイコン表示やプッシュ通知の使用など)を育む究極の消費者タッチポイントです。これは、老舗のブランドを含むモバイルドリブンな企業で認識されています。
オーガニックでアプリを見つけてもらうのは困難:特に特徴のないアプリが、アプリストアでユーザーにオーガニックで見つけてもらう確率はほとんどありません。したがって、デマンドを生み出すためのマーケティング活動が必要です。
データの信頼性:データドリブンのキャンペーンは絶えず洗練され続けているので(最適化しているのが人か機械かにかかわらず)、マーケターは自信を持ってマーケティング活動を行いリターンを向上させることができます。
ゲーム業界の躍進:2019年の全アプリインストール広告費の約40%がゲーム業界によるものだと言われています。これは2017年から30%の増加と言えます。Apple ArcadeやGoogle Play Passを介したゲームのサブスクリプションが、ゲームアプリに新たな収益の流れを生み出しています。また、5Gのインフラストラクチャの開発が、ゲーム業界をさらに躍進させることになります。
先進国での競争がコストを押し上げる:需要(ユーザー)と供給(アプリと広告)の差がますます広がり、限りのある市場での競争が激化します。特に、広告は品質の勝負になります。その結果、メディアのコストが急上昇し、最終的に広告費も急上昇します。
発展途上国での大規模な需要に対応するための圧力: これからモバイル端末でのインターネットユーザー数が百万単位で増加します。その増大する需要に対応し継続的な成長を実現するためのプレッシャーがマーケターにのしかかります。
プログラムの活用:ゲーム用アプリと非ゲーム用アプリの両方でアプリ内広告の使用が増加したことで、アプリ内入札が注目を集めていますが、アプリ環境に制限が多いため、なかなか広く普及はしていません。
しかし、この状態は急速に変化します。モバイルDSPとモバイルアドネットワークで、アプリ内広告枠を大規模に購入できる高度なソリューションが構築され、またウェブとアプリ間のリアルタイム入札(RTB – Real-time bidding)プロトコルも導入されたからです。
不正防止(フラウド防止): アプリの不正インストールの発生率が減少し、不正行為を抑止するのに防止機能の強化が有効であることが示されました。不正インストールによる費用の損失をマーケターが心配する必要はなくなりました。しかし、広告予算はさらに増大する一方で、不正による数十億ドルの損失を広告主は被っています。新しい形態の攻撃、特にアプリ内の不正を検出し防ぐための警戒が必要です。
収益ストリームの急増:アプリの有料ユーザー率が低い(5〜10%)ため、マーケターは、フリーミアムモデルでのマネタイズによる収益ストリームの確立を模索しています。アプリ内広告と有料のサブスクリプションが多く採用されるようになったことで、アプリユーザーの平均顧客生涯価値は向上しました。これにより規模を拡大しながら広告主がメディアにより多くの広告費を投じることができるようになります。
調査方法
この予測モデルは、2017年から2019年までの300億の非オーガニックインストール、480億ドルの広告費、7.2万のアプリについてのデータを含むAppsFlyer所有のデータを主なベースとしています。また、サードパーティのモバイルアトリビューション市場シェアデータ、地域別CPI予測、アプリストア内のアプリ数、インストール数などの他のパラメータも使用しています。
データセットは、非オーガニックインストールのアトリビューション市場シェア(FirebaseとFacebookのアプリ分析を除く)および非アトリビューション市場(モバイルアトリビューションプロバイダーによって測定されなかったマーケティング主導のインストール)の2つのカテゴリに分割しました。この分割は、全体的な手法の一部として行われましたが、上述のレポートには表示されていません。
* アプリインストール広告費とは、ユーザーをアプリストアに誘導してアプリをダウンロードさせることを目的としたダイレクトレスポンス広告キャンペーンに投じられた金額のことです。モバイル広告費(主に検索、ブランド、およびビデオディスプレイの予算で構成)の一部であり、非オーガニックアプリインストールの促進を目的としています。
レポートで使用された引用元: