ありがとうございます!

LTV (顧客生涯価値)

顧客生涯価値(LTV)とは、1人の顧客がある製品やサービスを利用する期間全体からもたらされる平均収益を予測した値です。

LTV(顧客生涯価値)とは

LTV(顧客生涯価値)は、モバイルビジネスの成長を測る主要な指標です。大抵はアプリユーザーのライフサイクル全体からもたらされる価値を特定するのに使われます。 

LTVの算出は、マーケターがアプリ内購入、アプリ内広告、サブスクリプションなどの収益源を適切に最適化し、利益を維持しながらユーザー獲得に費やせる金額を正確に特定するのに役立ちます。

LTVの算出方法

LTVの計算式

LTVにはいくつかの計算式がありますが、ここではユーザーのLTVを算出するための4ステップと、簡単で便利な計算式をご紹介します。

  1. 平均購入額の決定:ここ最近の平均購入額データが計測できない場合は、1~3か月間のデータを通年の代わりと見なしでもいいでしょう。
  2. 特定期間中の平均購入頻度の特定:アプリの利用頻度はLTVを高める主な要素です。
  3. リテンション期間の計測:平均的なユーザーが、ブランドを継続して利用している期間を特定します。中には生涯にわたってユーザーのロイヤリティを維持できるブランドもありますが、大抵の場合はユーザー体験(UX)の低下や業界内の熾烈な競争のため、ロイヤリティの維持に苦戦することになります。
  4. 算出:これで計算式の要素が揃ったため、この3つを掛け算の式に当てはめてLTVを算出します。

LTV(顧客生涯価値)=平均購入額×購入頻度×リテンション期間

あるいは、下記の計算式でも算出できます。

LTV = インストール日以降、または特定の期間にもたらされた総収益 / 当日、または特定の期間にインストールしたユーザー総数

LTVが重要な理由

LTVを算出するメリット

ユーザー1人あたりの平均収益と同時に、LTVはユーザーの見込みの収益や価値の合計を測るための重要な指標となります。無料でインストールできるアプリエコノミーにおいて、LTVはビジネスの健全性を測るために不可欠な指標なのです。

ここではLTVを算出する主なメリットをいくつか紹介します。

  1. 計測することで改善できる:LTVを計測するには、さまざまな要素を項目別に確認する必要があります。これによって価格設定や広告、ユーザーリテンションに関してより的を絞った戦略をとれるようになり、UXの継続的な改善や利益の増加を追求できます。
  2. ユーザー獲得におけるより優れた意思決定:ユーザー1人当たりの平均収益見込みを把握できれば、確実に収益性を最大化して継続的に適切なオーディエンスを獲得するため、支出の増減を調整できます。
  3. 予測による改善:LTV予測は、広告費に関する将来的な意思決定に役立ちます。LTVを予測することで、支出を抑えすぎて潜在的なビジネスチャンスを逃したり、あるいは増やしすぎて無駄なコストをかけたりするリスクが最小限に抑えられます。
  4. 顧客ロイヤリティとリテンションの向上:直感的で使いやすいアプリ、優れたカスタマーサポート、魅力的なロイヤリティプログラムなどの形で、企業が一貫して価値を提供できれば、顧客ロイヤリティと リテンションは一気に高まる傾向にあります。 

LTVの高いユーザーをターゲティングすればリテンションを促進できます。またロイヤルユーザーが増えることで離脱率が下がり、紹介や好意的なレビューも増えるというわけです。

  1. 継続的な購買の促進:LTVは、ユーザーのウェブ訪問やアプリの利用状況を、年間あるいは利用期間全体にわたって計測することで、そのデータを戦略的に活用してリピーターの増加につなげられます。
  2. 収益性の向上:一般的に、LTVが高いほど、収益性も高まります。ユーザーの利用期間を延ばすと同時に購買額や頻度を高めるようなモデルを構築することで、最終的な収益に結果があらわれます。

LTVレポートとアクティビティレポートの違い

データレポートは、モバイルマーケティング業務の中心に位置します。データレポートなしではデータにもとづく意思決定という、ビジネスの成功に不可欠な決定は下せません。 

とはいえ、モバイルを取り巻く他の要素と同様、データにはさまざまな種類が存在します。AppsFlyerの場合、データレポートには主に2種類のデータが使われます。

LTVデータとアクティビティデータ

アプリ内購入、登録、レベルの完了など、インストール後にユーザーが行ったアクションに関するイベントデータは、主に2つの方法で分析されます。その方法について詳しく見ていきましょう。ちなみに、インストールデータはアクティビティデータでもLTVデータでもないと見なされます。

  • LTVデータ:一定期間内にアプリをインストールしたユーザーがライフタイム全体で実行した、すべてのイベントが含まれます。LTVデータはさまざまなメディアソースから獲得したユーザーの質を継続して測れるため、キャンペーンを適切に最適化できるかはLTVデータに依存します。 
  • アクティビティデータ:アプリの全アクティブユーザーが一定期間内に実行した、すべてのイベントが含まれます。イベントの正確な内訳は時系列で表示されます。 

たとえば、2020年と2021年のブラックフライデーでそれぞれアプリが何件販売されたかといったトレンドを把握できる、確かなビジネス指標といえます。しかし、LTVデータでは特定のコホートを抽出できるため、マーケターは通常、LTVデータを参照します。 

LTVデータとアクティビティデータの違いを理解するには、電車の比喩が役立ちます。 

LTVデータとアクティビティデータ

サムという人物が、線路脇で電車が通過するのを眺めています。サムは電車が通った瞬間のみ、全乗客が実行したアクションを見ることができます。これがアクティビティデータです。

LTVデータ

デビッドという人物が、数両から成る電車に乗っています。デビッドは、電車に乗って(=インストール)から降りる(=アンインストール)まで、同じ車両にいる乗客が実行したアクションのみを、すべて見ることができます。前後の車両にいる他の乗客のアクションを見ることはできません。これがLTVデータです。

ユーザープライバシー重視の時代のLTV

プライバシー保護がユーザーとモバイルエコシステムの双方にとって歓迎されるものであることは誰の目にも明らかですが、iOS 14以降に導入された近年の変更は、独自の課題をもたらしました。 

1つ目には、SKAdNetwork計測の制限により、アプリマーケターが利用できるデータの量と質が大幅に低下していること。2つ目の極めて大きな課題が、LTVデータの不足です。

SKAdNetworkでは、ファネルの初期段階(インストールなど)からのデータシグナルにもとづいて、ポストバックを1度だけ行います。アプリ内イベントのポストバックデータはほぼありません。LTVデータの大半はアプリ内アクティビティから得られるため、アプリマーケターにとっては、キャンペーンのLTV価値を測るのに有用な指標をいくつも失うことになります。

ユーザープライバシー重視の時代のLTV

しかし、すべてが失われたわけではありません。デジタルマーケティング担当者は機械学習アルゴリズムを活用することにより、ユーザーの行動傾向を十分に把握し、そのデータを応用し、ユーザーが将来もたらす価値を予測できます。 

キャンペーンの成功を早い段階で予測し、それに応じて最適化することができるため、予測モデリングは非常に有用な手法なのです。  

LTVを高める方法

LTVを高める方法

LTVを高めるにはさまざまな戦略がありますが、ここでは特に検討すべきトップ10をご紹介します。

  1. CX:カスタマー体験への注力

アプリ、ウェブサイト、カスタマーケア、その他すべてのタッチポイントは、企業の個性を示すCXの一部です。顧客が常にスムーズでストレスの少ないデジタル経験を享受していれば、彼らがリピーターになる可能性が高まります。こうした顧客はブランドの良さを広め、アプリストアでのランキングを上げ、オーガニックグロースにも寄与するでしょう。

  1. オンボーディングの改善

ユーザーの中には、製品やサービスを購入したものの、次に何をすればいいのか分からないという人もいます。成功するブランドはカスタマージャーニーの道筋を描き、その第一歩として直感的でスムーズかつ、インタラクティブなオンボーディング体験に投資しています。 

こうして最適な利用状況や利用頻度を確保することで、ユーザーが今後アップグレードやアプリ内購入を行う可能性が高まります。

  1. LTVデータとアトリビューションデータの連携

これにより、最も重視すべきチャネルやメディアソース、キャンペーン、クリエイティブを把握できます。

  1. より良い価値の提供

価値を重視し、その企業でしか得られない価値を提供します。これにより、離脱を最小限に抑えたままLTVを向上させ、さらにはその質に見合った高めの価格を設定できる可能性も高まります。ただし、自社価格は競合他社の価格設定を考慮した上で決定しましょう。 

  1. 顧客ロイヤリティプログラムやリワードプログラムへの投資

購入頻度が高かったり、サブスクリプションを長期継続している顧客に見返りを提供することで、顧客は自分が大切にされていると感じ、つながりを維持しようとします。彼らがリピーターとなり、購入頻度を高め、製品やサービスへの愛着を友人に広めたくなるような、クリエイティブな方法を模索しましょう。

  1. 最高のカスタマーケアの提供

カスタマーサービスの質が悪ければ、LTVはたちまち低下し、離脱率は急増します。カスタマーケアにおける1つひとつの対話で満足感をもたらすことで、顧客ロイヤリティはさらに高まり、LTVの向上につながります。 

また、お客様の声を活かすことも大切です。ブランドは問題解決をカスタマーケアに頼るだけではなく、お客様から継続的にフィードバックをもらい、日々の製品やサービスに反映し続けるよう努めます。こうしてCXを高めることが求められます。 

  1. アップセル、クロスセルの促進

多くの場合、新たな顧客を獲得するより、既存顧客へのリエンゲージメントやアップセルを行う方が簡単(かつ安価)です。ブランドの付加価値を明確に顧客に伝えることで、より上位の、あるいは追加の製品やサービスを購入してもらえるようなクリエイティブな方法を見つけましょう。

  1. ソーシャルメディアの活用

顧客の目に留まりやすい場でアプローチをするなら、彼らが多くの時間を費やす場を利用するのが最適です。TikTok、Instagram、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアプラットフォームは、広告媒体としても顧客とのインタラクションを実現する場としても、インパクトの強いチャネルです。

  1. スムーズな購入体験の保証

カート離脱やチェックアウトの放棄は、大多数のビジネスが直面する悩ましい問題です。スムーズで簡易な購入体験を提供することで、ショッピングカートから購入に到達する可能性が高まります。

  1. オウンドメディアチャネルで、関連性が高く的を絞ったコンテンツを発信

ウェブサイト、ブログ、電子書籍、動画、ポッドキャスト、ソーシャルメディアなどのオウンドメディアは、いずれもよく使われるマーケティングチャネルです。特定のオーディエンス層に語りかけ、新製品を紹介したり、最適な利用法を促したりと、的を絞ったコンテンツを発信できます。

重要なポイント

  • LTVは、モバイルアプリビジネスの成長に役立つ指標です。LTVの算出は、マーケターが利益を維持しながらユーザー獲得に費やせる金額を正確に特定し、キャンペーンを適切に最適化するのに役立ちます。
  • LTVを算出する主なメリットには、価格設定や広告、ユーザーリテンションなどに関するより的を絞った戦略の策定、ユーザー獲得におけるより効果的な意思決定、予測による改善、顧客ロイヤリティの向上、定期的な購入の促進、収益性の向上などが挙げられます。
  • デジタルマーケティング担当者は機械学習アルゴリズムを活用することにより、Appleのプライバシー保護技術であるSKAdNetworkのデータ取得制限をいくらか克服できます。またユーザーの行動傾向を十分に把握し、そのデータを応用し、ユーザーが将来もたらす価値を予測することもできます。 
  • LTVを向上させる方法はいくつもありますが、特に効率的な方法は以下の通りです。 

アプリユーザーへの価値提供、顧客ロイヤリティへの投資、LTVデータとアトリビューションデータの連携、優れたカスタマーケアの維持、ソーシャルメディアの活用、オウンドメディアチャネルにおける関連コンテンツの拡充など。

Background
より多くの顧客を獲得し、コンバージョン率の向上を目指しましょう