SSP (Supply side platform)
SSP (Supply side platform / サプライサイドプラットフォーム)とは、複数のアドエクスチェンジを介して、パブリッシャーの広告インベントリのインプレッションを管理する技術プラットフォームやソフトウェアです。パブリッシャーの持つ広告インベントリの販売を自動化および最適化し、インベントリに広告を配信して収益の増加を支援するのに有効なマーケティングツールです。
SSP (Supply side platform)とは
SSP (Supply side platform)とは、ウェブやモバイルデバイス上の広告インベントリを自動で販売、管理、最適化し、パブリッシャーを支援するツールです。
SSPの登場以前、パブリッシャーは広告インベントリを手動で管理および販売しなければなりませんでしたが、手動では販売プロセスの拡大や、広告枠を確実に埋めることは困難でした。
サプライサイドプラットフォームは当初、パブリッシャーが余った広告枠を低価格で埋めるために使われていましたが、今ではSSPがすべての広告インベントリのプログラマティック販売を担っています。
SSPのしくみ
Googleが広告を配信する仕組みを考えたことはありますか?
Googleはユーザーのウェブ上の行動をすべて把握しているように見えますが、実は広告主(DSP)とパブリッシャー(SSP)の双方と情報を共有することで、適切な広告をすべてリアルタイムで提供できているのです。
SSPは、パブリッシャーと広告主の関係を促進します。SSPはインベントリを最適な価格で販売できるよう、販売可能な広告インプレッションをできるだけ多くの買い手候補に提示できます。
SSPの機能のおかげで、広告主は特定のユーザーをターゲティングし、ユーザーの主要なオンライン識別子とユーザー行動をもとに厳選された複数のパブリッシャーサイトから、広告インプレッションを購入できる機会を得られるようになりました。
広告主はパブリッシャーのコンテンツや訪問者をもとにして、そのサイトに広告を出稿するために入札を行います。このプロセスが可能なのは、パブリッシャーのSSPが、利用可能なインプレッションを提供しているからです。広告主のDSPは、これらをリアルタイムで分析します。その結果、適切なユーザーに適切な広告が配信されるのです。
SSPとDSP
DSP (Demand side platform)は、SSPの対となるツールです。DSPは、広告主が広告インベントリ(需要)を購入するために利用し、SSPはパブリッシャーが広告インベントリ(供給)を販売するために利用します。
SSPとDSPはアドエクスチェンジを介して連携し、DSPはオークション形式によって、広告インベントリに自動入札します。パブリッシャーはSSPによってさまざまなアドエクスチェンジで広告インベントリを販売でき、広告主はDSPによって複数のアドエクスチェンジから一元的に購入できます。
モバイルSSP
モバイルSSPは既存のSSPエコシステムの一部であり、通常、独立したプログラムではありません。したがって、モバイルSSPという場合は大抵、一般的なSSPのうち、モバイルインベントリを処理する機能を指しています。
モバイルSSPはモバイル向けアドエクスチェンジに接続され、アプリパブリッシャーやアプリデベロッパーが広告主に販売可能なインプレッションを提供しています。
SSPの3つのメリット
サプライサイドプラットフォームにはいくつものメリットがありますが、最大のメリットと言えば、それまで手動で行われていた面倒なプロセスを自動化できたことです。それ以外のメリットはどのプラットフォームを選ぶかによってもさまざまですが、ここではSSPのより普遍的な3つのメリットを紹介します。
広告のフィルレートが向上する
第一に、サプライサイドプラットフォームを利用すると、広告のフィルレート(満稿率)が自動的に向上します。
広告枠の数は、パブリッシャーのフィルレートで示されます。広告のフィルレートは収益に直結します。よって、収益を生むにはまず、ユーザーに広告が配信され、CTA(コールトゥアクション)がクリックされる必要があると覚えておきましょう。フィルレートを上げるのが重要なのは、そのためです。
サプライサイドプラットフォームを利用することで、販売可能な広告インベントリが確実に、最も入札額の高い入札者に販売されるようになります。つまり、1インベントリあたりの収益向上につながるということです。SSPではより多くの広告主が入札するよう働きかけているため、広告枠を埋めるあらゆるプロセスが完璧に最適化される可能性があるのです。
インプレッション疲れを回避する
デジタル市場が過密化した結果、ユーザーが同じ広告コンテンツを頻繁に目にする可能性も高まっています。
ユーザーに同じ広告インプレッションが配信されることで、そのインプレッションには悪影響が生じるかもしれません。実際、広告のインプレッション疲れは現実のものとなっています。同じ広告を繰り返し表示する広告主のコンテンツを、誰もが一度は避けた経験があることでしょう。
しかし、サプライサイドプラットフォームではDSPと連携し、広告が表示される回数の上限を定めています。これにより、サイトを訪れたユーザーが類似または同一の広告を目にする回数を制限できます。
このようにSSPを経由することで、パブリッシャーは広告のインプレッション疲れを回避するとともに、広告のインプレッションがポジティブな影響をもたらし、収益を生む可能性を高められます。
パブリッシャーが価格設定をコントロールしやすくなる
SSPではパブリッシャーがインプレッションのフロアプライス(最低落札価格)を設定できるため、パブリッシャーが(通常は低い)任意の価格で広告枠を埋める必要がなくなりました。
つまり、パブリッシャーはSSPを介して価格基準を設定できるようになり、確実に広告枠を埋めると同時に、そのインプレッションに対する妥当な収益を得られるようになったということです。
プログラマティック広告エコシステム
プログラマティック広告とは、デジタル広告スペースの売買を自動化する仕組みです。プログラマティック広告のエコシステムではリアルタイム入札、SSP、DSPが連携し、パブリッシャーとアドエクスチェンジ、およびインベントリの条件に見合った価値ある広告を結びつけます。
RTB (Real-time bidding / リアルタイム入札)
RTB ((Real-time bidding / リアルタイム入札)は、パブリッシャーからSSP経由で提供される広告インプレッションに対して、広告主がDSP経由で自動的に入札を行う仕組みです。
入札は見込み客がページにアクセスしてから、そのページが完全に読み込まれるまでの数ミリ秒の間に実施されます。この数ミリ秒の間に、予算とデモグラフィックの条件をもとにSSPが入札を管理し、パブリッシャーのサイトを閲覧しているユーザーに、落札者の広告が配信されます。
プログラマティックダイレクト
プログラマティックダイレクトとは、オークション方式ではないプログラマティック広告です。RTBとは異なり、パブリッシャーが広告主と固定価格を直接交渉し、一定期間、広告枠を販売します。
プログラマティックダイレクトのメリットは、パブリッシャーにとって自社のウェブページに確実にプレミアム広告が配信されるということです。このモデルでは、パブリッシャーと広告主が、双方にとって公平なCPM(1,000インプレッションあたりのコスト)を交渉します。
リアルタイム入札よりプログラマティックダイレクトの方が適した好例として、人気の育児ブログが、高級なベビーカー企業に広告枠を販売する場合が挙げられます。
パブリッシャーは広告主のターゲットオーディエンスに関連した広告枠を提供でき、広告主にとっても一定数のインプレッションが保証されるため、双方にとってメリットがあるというわけです。
適切なSSPの選び方
SSPの仕組みを知るのは重要ですが、どのSSPが自社に最適化を知ることもまた必須の重要事項です。
ここでは適切なSSPを選ぶ際に考慮すべき4つの点を紹介します。
サードパーティSSPとカスタムSSPのどちらが必要か
他の点を検討する前に、まずはサードパーティSSPとカスタムSSPのどちらが必要かを必ず検討してください。
サードパーティSSP
サードパーティSSPはまさにその名のとおりのSSPで、既存のソフトウェアと広告テクノロジーを搭載したプラットフォームです。既存のインフラストラクチャやBAM(ビジネスアクティビティモニタリング)に接続する感覚で簡単に利用でき、その瞬間からプログラマティック広告の取引を開始できます。
既存のどのサードパーティSSPを選ぶかは、ニーズ、戦略、予算、ターゲットオーディエンスによって異なります。
現在市場で利用できるSSPにはそれぞれ独自の機能があり、価格も異なります。顧客からの評価も参考にできるので、十分な情報を得た上での判断がしやすくなっています。プログラマティック広告の取引でサードパーティSSPを選ぶメリットは、ニーズがわかれば、そのニーズを満たすプラットフォームを選択でき、文字通り、接続してすぐに利用できるということです。
サードパーティSSPを選ぶデメリットは、まず、自社のデータと知的財産を手放すことになるということです。また、サードパーティソフトウェアに手数料とコミッションを支払う必要があります。さらに、既存のSSPでは、オプションは検討できても完全にはカスタマイズできないので、市場における自社の価値に限界が生じます。
カスタムSSP
広告インベントリのニーズを満たすために独自に設計され、ゼロから構築されたプラットフォームです。
独自のサプライサイドプラットフォームを構築するメリットは多数あります。
まず、プラットフォームそのもの、知的財産、そしてデータを自社で完全に所有し、管理できます。また、自社に特有の製品ロードマップを作成し、インベントリを最適化する独自の機能を構築できるため、自社の市場価値が制限されません。
サードパーティに支払う手数料やコミッションが不要なため長期的にはコスト削減につながりますが、カスタムSSPの初期コストは平均して、サードパーティSSPをはるかに上回ります。
ユーザーのためのオプションを試せるか
SSPのオプションは、少ないより多い方がベターです。
パブリッシャーにとっては、ユーザーに満足してもらえなければ、価格やレートよりはるかに大きな問題を抱えることになるからです。
よって、パブリッシャーの多くは自社のユーザーに最も適切なフォーマットが何かを理解するため、さまざまなフォーマットを試したいと考えます。より多くのオプションが搭載されたSSPを選ぶことで、価値のあるインプレッションをいつ、どのようにしてユーザーに提供できるかを自由に試して検討できます。こうして、インプレッションからクリックとコンバージョンにつながる可能性を高められるというわけです。
多数のデマンドソースがあるか
パブリッシャーの目標は、広告インベントリをできるだけ高値で販売することです。しかし、そのためには意欲的に広告枠に入札してくれるバイヤーが必要です。
つまり、パブリッシャーにとっては、質の高いデマンドサイドプラットフォーム、アドエクスチェンジ、アドネットワークにできるだけ多く接続する必要があるということです。
パブリッシャーにとってのデマンドソースは、広告主、つまり広告枠のバイヤーです。さまざまなデマンドソースにアクセスできるSSPを探すことで、パブリッシャーは、貴重な広告枠に意欲的に入札する可能性の高いバイヤーと取引できます。
分析とレポーティング機能はあるか
SSPを利用する理由の1つは、モバイルアプリやウェブサイトにおける広告インベントリの歩留まり最適化です。
分析およびレポーティング作成インターフェイスが搭載されたSSPなら、インベントリのパフォーマンス、フィルレート、クリック数およびインプレッション数を把握し、トラッキングするのに役立ちます。
インベントリの状況を把握することで、パブリッシャーは広告インプレッションを自動でマネタイゼーションし、規模を拡大できます。
現在市場で利用できる8つの優れたSSP
プログラマティック広告は現在、著しい成長を遂げ、デジタル広告およびオンライン広告の未来とも言われています。そのため、どのようなプログラマティックプラットフォームがあるかを理解することは、パブリッシャーにとって非常に重要です。
そこで、現在市場で利用できるSSPのうち、特に優れた8つを紹介します。
- Googleアドマネージャー
- OpenX
- マグナイト
- Sovrn
- PubMatic
- InMobi
- SmartyAds
- Index Exchange
重要なポイント
SSPとプログラマティック広告のエコシステムには業界独自の技術用語があふれており、業界そのものと同じくらい急激に進化しています。しかし、心配いりません。以下を覚えておけば安心です。
- SSPは今後、デジタル広告を活性化させるツールです。広告インベントリの販売を自動化および最適化するSSPは、フィルレートの向上と収益の増加に役立つからです。
- SSPはパブリッシャーと広告主の関係を促進し、広告が適切なサイトの適切なユーザーに配信されることを確実にします。
- SSPは広告のフィルレートを高め、ユーザーのインプレッション疲れを回避し、価格設定をよりコントロールできるように、パブリッシャーを支援します。
- SSPの種類(カスタムまたはサードパーティ)と検討事項を把握していれば、最適なSSPを選択できます。