ありがとうございます!

アプリ内課金

アプリ内購入(IAP)とは

アプリ内購入(IAP)とは、ユーザーがモバイルデバイスのアプリ内で購入できる追加コンテンツ、商品、またはサービスです。

アプリ内購入とは

アプリ内購入(IAP)とは、関連するアプリストアや他の決済方法でユーザーが実際のお金を支払い、消費型アイテム、非消費型アイテム、サブスクリプションを獲得する方法です。 

アプリの大半は無料でダウンロードできるため、アプリ所有者は主な収益源をアプリ内購入に依存しています。実際、2021年第3四半期だけでも、世界中の消費者はモバイルアプリとゲームに336億ドルを費やしています。 

アプリ内購入の仕組み

IAPには4つの種類があります。それぞれについて、詳細を説明します。 

消費型 

アプリ内購入:消費型

消費型は、一度だけ使用(消費)でき、何度でも再購入できるプロダクトです。消費型はゲームで最もよく見られ、たとえば追加ライフの購入や、トークンのようなアプリ内通貨の購入が消費型にあたります。また、デートアプリでは追加のスワイプの購入、機能の制限を解除することも消費型です。Eコマースアプリの場合、アプリ経由で物理的なアイテムを購入することも消費型に含まれます。   

非消耗品

アプリ内購入:非消費型

非消費型は、一度購入すればアプリ内で永久に使える、有効期限のないプロダクトです。ゲームでは新しいレベルの制限を解除したり、レーシングカー用の新しいタイヤを手に入れるといった特定の機能を購入することが含まれます。他にも、Kindleアプリの電子書籍や、フィットネスアプリのワークアウト動画が非消費型のアイテムです。 

自動更新サブスクリプション

自動更新サブスクリプションは、定期的に支払いを行うプロダクトやサービスです。たとえば、NetflixやSpotify、またはAppleやGoogleのストレージ容量へのアクセスがこれに含まれます。安定した収益源を確保できるため、アプリデベロッパーがサブスクリプションベースのモデルを選択する傾向は高まっています。さらに、近年ではAppleとGoogleがサブスクリプションアプリの手数料を引き下げたことにより、アプリデベロッパーにとってはより魅力的なモデルとなりました。 

非自動更新サブスクリプション

非自動更新サブスクリプションは、通常、より長い一定期間のサブスクリプションを意味します。自動更新サブスクリプションよりも高額な場合があるため、ユーザーが手動で期間を更新する必要があります。 

非自動更新サブスクリプションはまた、たとえば限定的なスポーツイベントのストリーミングサービスといった固定のサブスクリプションをコンテンツプロバイダーが提供するのに便利なツールでもあります。 

支払い方法

IAPの4つの種類とは別に、支払い方法には3つのオプションがあります。 

1. アプリストア(AppleまたはGoogle Play)経由

アプリストアにクレジットカード情報を登録してアプリ内購入をする方法です。アプリストアの決済システムを通じて支払いが行われます。これは通常サブスクリプションのアプリやゲームなどで、ユーザーが1クリックでクレジット決済を行いたい場合などに使われます。 

AppleとGoogleでは、取引ごとに30%の手数料がアプリ所有者に請求されます。両社は近年、サブスクリプションの場合の手数料を15%に引き下げましたが、Appleの場合、これは最初の100万ドルの売上にのみ適用され、その後はまた30%が課されるようになります。  

2. アプリから直接 

直接支払いは、クレジットカードの詳細をアプリそれ自体に登録することで行われます。たとえば、Uberでのタクシー利用、GrubHubでの食事のテイクアウト、Eコマースアプリでの製品の購入などがあります。 

3. サードパーティ経由

アプリ所有者が選択できる支払い方法は、近年までは上記のいずれかに限られていました。状況が変わるきっかけとなったのは、2020年8月、Epic GamesがAppleに対して起こした訴訟です。  Epic Gamesは、Appleのアプリストアがアプリ内購入の決済方法を限定していることに異議を唱えましたが、それ以前から、取引あたりに30%の手数料がかかることにも不満を訴えていました。 

カリフォルニア州の連邦地方裁判所は、アプリで利用可能な他の決済方法に顧客を誘導できないAppleの手段は不正競争防止法に違反すると判断しました。

その結果、Appleは事実上、自社の決済システムのみを経由することをアプリデベロッパーに強制できなくなり、代わりにアプリのモバイルサイトにユーザーを誘導して決済を完了するといった、サードパーティのアプリ内購入を認めなければならなくなりました。 

Appleは2021年10月、同年12月に発効される予定のこの決定に上訴しています。

アプリ内購入:iOSとAndroid

アプリ内購入:AppleとAndroid

Android OSは市場シェアの72%を占めているにもかかわらず、ユーザーあたりの支出はiOSユーザーのほうがはるかに高いことが知られています。

AppsFlyerのデータによると、iOSは写真を除くすべてのアプリカテゴリで、Android OSの有料ユーザーの割合を上回っています。iOSの有料ユーザーの割合は、ゲームでは54%高く、ショッピングアプリでは39%、ファイナンスアプリでは36%上回っています。

この傾向の理由は何でしょうか。iOSは米国や日本など、GDPが比較的高い地域でより優勢なのに対し、Androidはインド、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカといった発展途上市場で人気を得ています。

さらに、平均的なiPhoneは平均的なAndroidデバイスより、はるかに高額です。つまりデバイスと収入の高さには相関があり、iOSユーザーあたりの支出の増加につながっていると解釈できます。 

もう1つの重要な要因は、Appleが中国で事業を展開できるのに対し、Google Playは中国では規制されていることです。中国ではGoogle Playに代わるアプリストアが提供され、2020年には80億ドル以上の収益を生んでいます。 

エンゲージメントとアプリ内購入との関係

エンゲージメントとアプリ内購入との関係

IAPはアプリ内エンゲージメントに直接結びついているため、アプリオーナーが購入率を計測し、増加させようと考えているなら、まずはエンゲージメントに注目する必要があります。  

デートアプリを例に考えてみましょう。日常的に「スワイプ」、「いいね」、「メッセージ」などに携わっているユーザーは、アプリへのエンゲージメントが高いユーザーです。あるとき無料のスワイプが上限に達すると、アプリは追加のスワイプを購入するオプションを提供し、ユーザーは購入を選択します。アプリをよく利用しているユーザーほどアプリへの投資がはるかに多いため、購入する可能性も高いと言えます。 

広告でマネタイズしているアプリの場合、あらゆるビューから収益が促進されます。つまり、エンゲージメントの高いユーザーはアプリ内購入を行わなくても、大きな収益を発生させていることになるのです。 

したがって、購入はエンゲージメントのより大きな全体像の一部として計測する必要があります。エンゲージメントを計測して収益向上に役立てるための指標は多数あります。   

DAU と MAU

DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)MAU(1か月あたりのアクティブユーザー数)は、日次または月次ベースでアプリに携わったユニークユーザー数です。アクティブユーザーの定義を何にするかについては、一定の基準を定める必要があります。 

また、DAUをMAUで割ったDAU/MAU比率(定着率)も参考にできます。定着率を調べることで、長期にわたってどれだけユーザーを着実に維持できているかを理解するのに役立ちます。 

ARPDAU

ARPDAUは、1日のアクティブユーザーあたりの平均収益を表します。ARPDAUはさまざまなキャンペーンやクリエイティブがユーザーにどう影響し、日々の収益に貢献しているかを把握する助けとなるため重要な指標であり、特にゲームアプリにとって重要です。 

仮にあるキャンペーンにユーザーが積極的に携わり、収益が急増したとすれば、今後のキャンペーンの指針にできます。反対に、ある特定の日にエンゲージメントと収益が低下した場合は、その原因を調査し、改善のための最適化に利用できます。 

平均セッション時間

平均セッション時間は、そのアプリがどの程度ユーザーを引き付けられているかを知るのに役立ちます。セッション時間が長ければそれだけユーザーのエンゲージメントが高まるため、購入プロセスに進んだり、より多くの広告を閲覧したりする可能性が高まります。 

リテンション率

ユーザーリテンションは、長期的なロイヤリティを測るのに役立ちます。前述したDAU/MAU比率(定着率)とは異なり、リテンションは、継続期間を意味します。たとえば、あるユーザーがハイパーカジュアルゲームをインストールし、1週間連続してプレイしたものの、その後離脱したとします。このユーザーと、数日おきではあるものの、1年間プレイし続けたユーザーを比較します。2人目のプレイヤーのほうがよりゲームに携わっているため、ユーザーとしての継続期間で購入にいたる可能性もより高いと言えるでしょう。 

アプリ内購入不正

アプリ内購入不正

IAP不正がよく見られるのは、アプリ内購入イベントに関するアクションあたりのコスト(CPA)キャンペーンが行われた場合です。CPAイベントは価値の高いユーザーを示し、不正集団にとって魅力的であるため、関連するCPIレートの10倍の値に達することも珍しくありません。 

各アクションの価値が高いため、不正集団はより少ないアクションで満足する可能性があります。これはつまり、不正防止システムの注意を引く可能性も低くなるということです。 

AppsFlyerのデータによると、ストリーミングエンターテインメントアプリにおけるサブスクリプション収益はアプリ内購入不正率が高く、アプリ内イベント67回中、1回の割合で不正インストールが発生しています。  その原因は、不正集団が収益性の高い定期サブスクリプション収益イベントを標的にしているからかもしれません。 

ゲームアプリで最も被害が大きいのはソーシャルカジノとハードコアのジャンルで、それぞれのアプリ内不正は288、256と高い割合が記録されています。ここでの不正行為は、ファネルにわたって可能性のあるいくつかのCPAイベントを標的に、不正を最大化しようとしています。

アプリ所有者はこうした悪巧みがあることを認識し、イベント後もアプリ内のトレンド、特に購入に関するトレンドを監視する必要があります。

アプリ内購入で収益を拡大させる方法

アプリ内購入で収益を拡大させる方法

基本的に、大半のアプリは収益を生むのが目的のため、IAPの増加を主な戦略としているはずです。ここでは収益を増加させるためのヒントをいくつか紹介します。 

1. 特典の提供

無料や割引価格で何かを得るのは誰にとっても嬉しいものです。特典を提供することでエンゲージメントが高まり、将来の購入につながる可能性があります。また割引や特別価格も、購入につながりやすい良い方法です。オファーをパーソナライズしたり、季節のイベントに合わせてみるのもいいでしょう。 

2. リッチアプリ内イベントの活用

リッチアプリ内イベントとは、レベルの達成、チュートリアルの完了、ユーザーの招待、ソーシャルシェアなどのアクティビティを意味します。また、購入にコンテキストを追加することもできます。たとえば、旅行アプリでは予約が完了したことだけを確認するのではなく、リッチアプリ内イベントによって、ロンドンからパリまでのビジネスクラスのフライトを、500ドルで予約したことを確認できるようにするといったコンテキストです。 

コンテキストの追加は非常に重要です。というのも、リッチアプリ内イベントはユーザーの実際の価値やユーザー獲得(UA)活動のパフォーマンスを評価したり、どうすれば類似のコンバージョンを促進できるかを判断したりするのに必須とされる、より深いレベルでの理解をサポートするからです。 

3. リマーケティングとリエンゲージメント 

新規ユーザーを獲得するより、既存ユーザーをリエンゲージする方が安価だというのは、よく知られています。それ以上に、当然ながら、すでにそのブランドに慣れ親しんでいる既存ユーザーは、ブランドのサービスに価値を見出しています。したがって、新規ユーザーをファネルの最初から最後まで誘導しようとするよりも、以前からずっとアプリ内購入に関心を示しているユーザーをリエンゲージする方が簡単なのです。 

4.パーソナライゼーション 

ユーザーが日々大量のコンテンツにさらされている世界において、パーソナライズされたコンテンツが彼らの心に響きやすくなるのは当然です(前提として、その形式がユーザーに合ったものである必要がありますが)。

カスタマイズされたオファーを適切なタイミングで提供することで、見込み客がコンバージョンにいたる極めて重要な後押しとなります。たとえば、顧客の誕生月に10%の割引を提供するというのも1つの方法です。 

あるいは、ショッピングアプリで、あるユーザーがカーディガンをカートに入れたことがわかっているとします。そのカーディガンはすぐに売れてしまうので、機会を逃さないようプッシュ通知を送ります。これによってユーザーに焦燥感が生まれるため、購入を促進できます。 

重要なポイント

フリーミアムアプリ市場では、IAPはアプリデベロッパーにとって重要な収入源です。以下についても覚えておきましょう。 

  1. 購入方法は4種類に分けられます。どれを選択するかは、提供するコンテンツまたはサービスの種類によって異なります。 
  2. デバイスではAndroidがAppleの市場シェアを上回っているかもしれませんが、IAP収益(消費者支出)においては、依然としてAppleが勝っています。 
  3. エンゲージメントと購入の間には、強い相関関係があります。ユーザーがアプリに携わっていれば投資も増えるため、適切なタイミングで適切なオファーを提供できれば、購入の可能性も高まります。 
  4. 不正行為への認識が高まっているにもかかわらず、アプリ所有者はいまだに不正に悩まされています。IAP不正の多くは、CPAキャンペーンと連動して発生します。これらは価値が高く、件数はそう多くないために、検出が難しい場合があります。常に警戒を怠らず、イベント終了後も購入の有効性を確認することが重要です。 
  5. パーソナライズされたスムーズなアプリ内体験 を実現することで、IAP収益の増加につながります。ユーザーの好みにもとづくオファーを適切なタイミングで提供できれば、ブラウジングから購入にいたる重要な後押しとなるでしょう。 
Background
より多くの顧客を獲得し、コンバージョン率の向上を目指しましょう